特殊な税制度・ゴルフ場の利用税とは?最新の廃止活動とは?

ゴルフ場を利用した人は明細などで消費税と一緒にゴルフ場利用税も徴収されていますが、そもそもなぜゴルフ場の利用者だけ課税されているのでしょう。
そこで、疑問が多いゴルフ場の利用に関わる税制度の基本情報や、利用税の廃止への取り組みなどを紹介していきます。

ゴルフ場の利用税とは?

ゴルフ場を利用する時に必要となる「ゴルフ場の利用税」ですが、何の目的で徴収されているのか詳細がわからないまま昔ながらの慣習でお金を支払っている人も多いのではないでしょうか。
ゴルフはスポーツではなくパチンコやボウリング場などと同じように娯楽として見なされていたため1954年から娯楽施設利用税を徴収されていました。
1989年に消費税が導入された際に娯楽施設利用税自体が廃止されたのですが、他の施設と異なりゴルフ場だけが新たに「ゴルフ場利用税」を新設され1954年から継続して課税され続けています。

ゴルフ場の利用税は1日の利用に定められた金額を利用者が支払い、ゴルフ場経営者が1カ月分を各都道府県に納税する仕組みになっていますが、全ての利用者が支払うわけではありません。
18歳未満・70歳以上・障がいのある人、国民体育大会や国際競技大会の参加選手、学校の教育活動で利用した場合は非課税となるためゴルフ場を利用する時に18歳未満・70歳以上の人は運転免許証または身分証明書、障がいのある人は障害者手帳などを提出する必要があります。
また、大会の参加選手は都知事が発行した証明書や国際競技大会の運営者が発行した証明書、学校の場合は学長・校長が発行した証明書を提出するルールになっています。

また、課税額もホール数やゴルフ場の利用料金によって異なっているので、実際の利用税はそれぞれのゴルフ場で確認する必要がありますが、支払い時の明細やネットで予約する場合の料金にも消費税・ゴルフ場利用税がきちんと明記されるようになっています。
ゴルフ場利用税は非課税対象者でない限り、納税義務が生じる仕組みとなっているため支払いを拒否することはできません。
ゴルフ場利用税についての詳細は各都道県の税務署のホームページでも確認することも可能です。

地域によって異なるゴルフ場の利用税

徴収されたゴルフ場の利用税の内7割は、ゴルフ場のある市町村の財源になるのですが、各都道府県によって課税額が異なっているため利用するゴルフ場により支払う額が変わってきます。
東京都では、1級~8級に分類され、1級の場合は1,200円・2級は1,100円・3級は1,000円・4級は900円・5級は800円・6級は600円・7級は500円・8級は400円を、1回ごとの利用につき納税が必要です。
その他には、400円~1200円の4段階の等級しか設定されていない神奈川県や、ゴルフ場利用税の下限が300円となっている兵庫県など自治体によって規定が変わるため利用者にとっては複雑で分かりにくい税制度となっています。

また、ゴルフ場利用税は軽減措置も設けられており、東京都の場合は65歳~70歳の利用者や早朝や夜間の利用者は課税額が1/2に軽減されます。
軽減措置も自治体によって設定できるようになっているので、茨城県では東京都同じ条件にプラスして協議会に参加するアマチュア選手も軽減対象となっています。
ゴルフ場利用税が軽減される条件の詳細も自治体のホームページで確認することが可能です。

ゴルフ場の利用税の廃止活動

日本ではこれまでパチンコ・麻雀のような娯楽の一種として贅沢税として課税されてきましたが、スポーツ競技として正式にオリンピック種目となっているゴルフ場だけが課税されることに疑問を感じている人も多くいます。
ゴルフ業界では数十年前から、他のスポーツの野球場やテニスコートなどと同じく、課税されずにプレイできるように廃止活動を行ってきましたがまだ廃止には至っていません。
けれど、国会議員の間でも総勢135名が参加している超党派ゴルフ議員連盟・自民党ゴルフ振興議員連盟などが、ゴルフ場利用税の廃止法案を国会に提出する動きがあります。

また、ゴルフ業界でも石川遼選手や松山英樹選手といった世界的なプレイヤーがゴルフ税廃止の署名活動に参加したり、スポーツ庁とJGA(日本ゴルフ協会)による税制改正要望では、オリンピックや国際大会やアマチュアゴルフ競技大会に参加する選手だけでなく、非課税対象となる年齢を従来の18歳未満から30歳未満・70歳以上から65歳以上に拡大することが提案されたりと近年さまざま形でゴルフ場の利用税についての活動が活発化してきています。
ひと昔前の贅沢な趣味としてのゴルフとは異なり、健康のために生涯楽しめるスポーツとしてゴルフをプレイする人口は拡大傾向にあります。
ゴルフ場の利用税が各自治体にとって大きな税収となっている背景もあり、廃止活動が難航しているのも現状ですが社会的背景も変化しているため将来的には、非課税対象の拡大や利用税の廃止も具体的になっていくと思われます。

オリンピック参加選手への対応

ゴルフ場の利用税は18歳以上70歳未満の人は、プロゴルファーであってもアマチュアゴルファーであっても平等に納税義務を負っていましたが、ゴルフ競技の練習環境を改善するためにオリンピック選手や国際大会出場選手のゴルフ場の利用税が非課税になることが決まりました。
一部の都道府県では、競技会に参加する選手の利用税が1/2に軽減されていましたが非課税へと変わります。
東京五輪に参加する選手も競技や公式練習を行う場合のゴルフ場利用税が免除されますが、「当面の間ゴルフ場利用税の非課税措置を講ずる」となっているため、いつ優遇処置が終了してしまうのか曖昧になっています。
非課税対象となる年齢の拡大への要望は見送られていますので、今後も継続的にゴルフ場利用税の廃止や非課税対象者の拡大のための活動は継続していかなくてはならない課題となっています。

ゴルフ場の利用税の廃止への動きを知っておきましょう

ゴルフはスポーツ競技として観戦するだけでなく、一般の利用者が生涯楽しめる健康習慣としても効果の高いスポーツです。
野球やテニスなど他のスポーツと同様に年齢や世代を問わず楽しめるスポーツになるためには、多くの人がゴルフ場の利用税の廃止や非課税対象者の拡大のための取り組みに賛同することも大切ですので、ゴルフ業界の活動や国や自治体の対応などの情報も確認してみましょう。

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