プロゴルファーは、トップクラスになると億単位の賞金を稼ぐことも可能ですが、実際には一部を除き生活が厳しいのが現状です。
以下では、その背景について見ていくことにします。
プロゴルファーとして生活することは厳しいという事実とその理由
最初に結論からいうと、プロゴルファーとしてそれだけで生活を維持することができる人は、ランキングの上位50名ほどと言われており、それ以外のゴルファーはたとえプロ試験に合格していたとしても、それだけでは生活していくことが難しいというのが実態です。
その窮状ぶりは、かつて生活に困ったプロゴルファーが窃盗を働いて捕まったことがあるほどであり、ゴルフだけで生活していくことが困難なゴルファーは様々な副業などを行うことで、何とか生活をやりくりしているのです。
一方で、ランキングのトップ10に入るような超一流のゴルファーになると、年間の賞金だけで数億円ということも決して不可能ではありません。
加えて、人気が出てくるとスポンサーが付いたり、テレビコマーシャルなどに起用されたりして、さらに収入が上乗せされるようになります。
このように、プロゴルファーは、厳しい競争を勝ち抜けば、多大な報酬が得られるという夢のある職業ということができるでしょう。
では、プロゴルファーの生活はなぜそれほどまでに厳しいのでしょうか。ここからは、その理由について見ていくことにしましょう。
ランキングが決定的に重要な世界
国内で賞金が出るゴルフ大会は、一般的には予選ラウンドと決勝ラウンドから構成されています。
ランキングの上位70名に入るプロゴルファーは、このうちの予選ラウンドを免除されることになっており、最初から決勝ラウンドを戦うことができるため、その分だけ賞金を獲得するのに優位な位置にいることになります。
一方、それ以外のゴルファーは、たとえプロであったとしても予選ラウンドから出場しなければならず、結果的に賞金を獲得できる可能性がかなり低くなっているのです。
プロゴルファーの収入は、基本的にはいくら賞金を得ることができるかにかかっていますので、それが難しいランキング下位の選手は必然的に厳しい生活を強いられることになります。
費用は自己負担
プロゴルファーは、原則としてあらゆる費用が自己負担となっています。
大会へのエントリー料はもちろんのこと、会場に行くための交通費や宿泊費、さらにはゴルフ用品やキャディーの費用に至るまですべて自分で支払わなければならないことから、国内の主要な大会に参加して回れば、それだけで年間600万円から700万円程度の費用がかかると言われています。
これを賄うだけの収入が得られない限り、生活を維持することは困難になるというわけです。
あるプロゴルファーの生活
あるプロゴルファーは、プロテストに合格して10年ほど経っている中堅プレイヤーですが、ランキングは50位台から60位台を行き来しています。
そのため、大会には決勝ラウンドから出場できるもののこれまで優勝したことはなく、年間収入は1,000万円を超えるかどうかといったという年がほとんどでした。
収入から費用を差し引くと、手取りはわずか300万円から400万円ほどであり、それだけでは余裕のある生活はできないことからレッスンプロとして副業で生計を立てていたのです。
もっとも、週の多くは大会に出場しなければならないことから、実際に副業に割ける時間は限られており、すべての収入を合わせても700万円ほどの手取りを得るに留まっていました。
このようなゴルファーの事例は珍しくなく、多くのプロゴルファーは理想と現実の間で厳しい生活を強いられているのです。
プロゴルファーの生活は厳しくないという考えについて
プロゴルファーの生活が厳しいというと、プロとして多くの収入が得られるはずなのだから、そのようなことは決してないという反論を受けることが多々あります。
確かに、テレビに登場するようなプロゴルファーはいずれも生活に困っているようなそぶりは見せませんし、他のプロスポーツ選手の多くもそれなりの収入を得ていることが通常です。
そのため、ここで述べたような反論は決して荒唐無稽ではなく、そのような主張が行われることもある程度は理解できるのですが、実際には多くのゴルフプレイヤーは十分な収入を得られていないということもまた事実なのです。
プロゴルファーは厳しい職業
以上で見てきたように、一部を除いて多くのプロゴルファーは、副業をしなければ生きていくことができないような、厳しい生活を強いられているのが実態です。
しかしながら、一度成功を収めると億単位の収入が見込まれるため、いずれはトップに上り詰めることを夢見て多くのゴルファーたちは厳しい戦いを繰り広げているのです。