2020年に開催される東京オリンピックはゴルフも採用種目のひとつです。
選抜されたゴルファーが腕を競いますが、出場を辞退する可能性が否定できません。
リオオリンピックでの事例を基に、東京オリンピックにおけるゴルフ選手の出場辞退の可能性について考察しましょう。
リオオリンピックで辞退者が続出した理由の詳細
2016年に開催されたリオオリンピックでは競技種目のひとつであるゴルフが非常に注目されていました。
なぜならゴルフがオリンピックで行われるのは、1904年のセントルイスオリンピックから数えて112年ぶりだったためです。
それだけにリオオリンピックそのものへの注目度も非常に高いものとなり、歴史的な快挙とまで称賛されていました。
競技に参加する選手の意気込みも強く、世界のゴルフ愛好家がリオオリンピックの開催を心待ちにしていたと言っても過言では無かったのです。
しかし、実際にリオオリンピックの開催が近づくと参加予定の選手が次々と辞退を表明したのです。
スポーツ選手の大きな目標のひとつであるオリンピックへの出場を辞退するのは尋常なことではありません。
リオオリンピックのゴルフで出場辞退が続発した理由として、開催地における衛生管理の問題があります。
開催地であるリオデジャネイロはブラジルの都市ですが、ブラジルがある南米大陸は蚊が媒介する熱病の一種、ジカ熱がまん延している地域でもあります。
ジカ熱は重大な健康被害をもたらす感染症として危険視されていますが、ゴルフは山地や森林を切り開いた屋外のコースで行うスポーツなので、ジカ熱を媒介する蚊に刺されるリスクが非常に高いと見なされたのです。
ブラジルを含む南米諸国は衛生管理が決して良好ではなく、オリンピックの開催地であるリオデジャネイロも例外ではありません。
蚊に刺されるリスクが高く、適切な治療を受けられない可能性もあることから健康被害を警戒して出場を辞退する選手が増えたのです。
また、日程が過密であることも出場辞退を招いた理由のひとつです。
リオオリンピックの前後にいくつものゴルフツアーが開催され、オリンピックに出場する選手の多くがこれらのツアーにも参加することが決まっていました。
オリンピックはスポーツ選手にとって大きな目標ではあるものの、いわば名誉を得るための場であり、金銭的な利益が得られるわけではありません。
それに対してゴルフツアーはゴルファーという肩書きを持つ人にとって収入を得るための仕事場です。
ゴルフツアーに参加しながらオリンピックにも出場するのは体調管理の面から見て現実的な選択とは言えません。
生活のためにオリンピックよりもゴルフツアーを優先するのはプロのスポーツ選手としては当然の選択なのです。
東京オリンピックで出場辞退が起こる可能性とその理由
2020年の東京オリンピックでもゴルフは採用種目のひとつですが、リオオリンピックのように複数の選手が出場を辞退する可能性があると危惧されています。
その大きな理由として挙げられているのが開催時期の気温です。
東京オリンピックにおけるゴルフの開催日程は男女を合わせて7月30日から8月8日までとなっています。
その期間は日本では真夏に該当しますが、近年の日本は酷暑と表現されるほどの強烈な気温の上昇が多発しています。
極端に暑い中、遮へい物が無いゴルフコースを歩き回ってプレイする形になってしまうことから熱中症に見舞われる可能性が指摘されているのです。
日本の夏は高温多湿ですが、これは他の地域ではあまり見られない環境です。
そのため、未知の環境への忌避感から事態に至る可能性があります。
出場辞退の理由として、オリンピックではゴルフがさほど注目されないという問題もあります。
リオオリンピックはジカ熱への感染を危惧した一部選手の辞退というトラブルはありましたが、112年ぶりにゴルフが行われたこともあって当初は世界中から注目されていました。
しかし実際にゴルフが行われると開催前の注目度とは裏腹に、さほど盛り上がらなかったのが実状です。ゴルフは他のスポーツとは異なり、激しい動きも無ければダイナミックなチームプレイもありません。
静寂に包まれた中でゴルファーが集中力を高めてボールを飛ばし、グリーンのカップに入れるまでの打数の少なさを競うスポーツです。
オリンピック競技に躍動感や迫力を求める人にとってゴルフは場違いな種目であると見なされてしまったのです。
スポーツは本来なら観客がいなくても成り立つので、見る人がどのような感想を抱いてもそれは選手には関係ありません。
しかし、オリンピックは世界中から注目されるスポーツの祭典であり、その場で良くない印象を持たれてしまうのは今後の選手活動には決してプラスには働かないのです。
そのような理由から出場を辞退することは十分にあり得る話です。
オリンピックの開催に関する問題が出場の辞退を招く
リオオリンピックのゴルフ出場辞退が続出したのは衛生環境の悪さや選手のスケジュールを無視した日程が大きな理由でした。
東京オリンピックに関しても極端な気温の高さやオリンピックにおけるゴルフへの関心の低さが選手の忌避感を招いています。
オリンピックの開催が選手本位では無い状況を改善しない限り、出場辞退は無くならないと言えるのです。