若い頃からゴルフを嗜む人にとって、加齢に伴う筋力の衰えがスコアに表れた時に悩む人が少なくありません。
かつて到達していたスコアを出すためには飛距離の減少を食い止める必要があり、結果的に無理な力が入ってしまいます。
しかし、シニアプロが飛距離を出していることを考えると、必ずしも筋力の衰えがゴルフのスコアに直結していると思えないのはなぜでしょうか。
加齢に伴う筋力の衰えは筋トレである程度緩やかにできる
ゴルフで飛距離が最も問題となるのは、ドライバーを使ったショットを行う時だと考えられます。
筋力が衰えてしまうと残念ながら今までのフォームでは同じ飛距離を出せなくなってしまうわけです。
では、フォームを変更することを最初に考えなければならないのでしょうか。
加齢に伴う筋力の衰えは、負荷をかけた筋力トレーニングによりある程度抑制することができます。
このため、シニアプロの多くは適度に負荷トレーニングを行っていると考えて良いでしょう。
しかし、ゴルフを趣味で楽しむ一般プレイヤーにとって、必ずしも負荷トレーニングを無理に続けることばかりが得策とは限りません。
ゴルフで飛距離を維持したいなら内力の衰えを外力でカバーしよう
ゴルフを始めた年齢が20代や30代といった筋力の衰え知らずな年齢だった場合には、スイングに必要な筋力が十分に有り余っていたために内力と呼ばれる筋力に頼ったスイングとなりやすいです。
見た目が筋肉質な人が華奢で小柄なプロよりも飛距離が出ないことは、ゴルフ上級者ほど筋力だけに頼らない外力を使ったスイングを身につけていることを意味します。
つまり、筋力に頼った内力を使ったスイングから遠心力や反動を使った外力を用いたスイングへと切り替えれば良いわけです。
スイングにより作り出される力は、内力と外力に細かくは分離されるものの何も知らない状態では筋力を使った内力でスイングを行いがちです。
筋力が衰えて内力によるスイングが弱くなった部分を外力により補うことができれば、以前と同じエネルギー量を確保できるために飛距離が変わらない状態になります。
筋トレにより筋力が衰えるスピードを遅くしつつ外力の使い方が上達すれば、かつての飛距離を上回る可能性すら残されているわけです。
飛距離はヘッドスピードに比例して伸びる
ゴルフで飛距離を左右するポイントは、基本的にクラブのヘッドスピードが速いことです。
高等学校で物理を選択していればかつて勉強した通り、運動量保存の法則がゴルフスイングでも成り立ちます。
運動量と力積が等しいことを知っていれば、ハンマー投げの飛距離は外力を最大限伸ばして飛ばしていることに気がつくはずです。
そして、ゴルフクラブによるスイングは、グリップ部分を支点にして遠心力と地面反力の両方を使って加速することができます。
ヘッドスピードを加速する方法には筋力のみが有効とは限らず、遠心力と地面反力のアップという2つの方法により内力が足りない分を外力で補うことができるわけです。
筋力の衰えを補う地面反力の使い方とは
筋力の衰えを補うために有効な地面反力は、趣味でゴルフを楽しむ人が本来持っているはずの力を制限せずに有効活用する方法です。
具体的には、ダウンスイングを行う際に左足で地面を踏み込む際に生まれる地面反力をスイングに乗せることです。
スイングを行う際には荷重移動を行うために左足で地面を踏み込む動作を行っていますが、内力のみに頼っていると左足から伝わる地面反力を活かせずにブレーキの役割を果たしてしまいます。
発生したエネルギーを打ち消す動きをせずに、力が動く方向をスイング方向へ変換してあげるだけで地面反力を利用できるわけです。
地面反力の利用を難しいと考えがちですが、日常生活で2足歩行ができていれば地面反力を普段から使って歩いていることになります。
踏み込むタイミングと力の向きを変えることにより、左右の足で発生させた地面反力により前に歩くという外力の方向転換を行っているわけです。
歩く際に地面反力を既に使えているならば、スイング方向へ地面反力を方向転換させる方法をイメージして練習すれば取り入れられるはずです。
ポイントとなるのは左足を踏み込むタイミングが今までと変わるので、繰り返しヒールアップでスイングする素振り練習を行ってみることでしょう。
今までよりも早いタイミングで踏み込めば地面反力をスイングに乗せることができると分かっているからこそ、タイミングを掴む練習を行うだけです。
遠心力をスイングに乗せる際には下半身の使い方が重要
外力を使ったスイングを行う際に地面反力に加えて遠心力を利用することは、内力不足を補うために重要なポイントとなります。
遠心力は逆向き向心力という呼び名が正式ですが、重りに繋いだ紐の一端を持って振り回した時のイメージが分かりやすいです。
重りが同一質量ならば紐の長さが長いほど遠心力は強くなり、振り回すスピードが速いほど更に強くなります。
そこで、遠心力をゴルフスイングに活かすためにはゴルフクラブを長くする方法とスイングする際の回転力を上げる方法があります。
ドライバーの長さを極端に長くすることは難しいので、実際には回転力を高める方法が有効です。
ゴルフクラブのヘッドでゴルフボールを打つわけですが、肩から手首までの長さも遠心力を使う時には重要となります。
ダウンスイング時には力を溜めた状態でインパクト・フォロースルーで遠心力を開放する打ち方をすれば、ヘッドスピードを高めることが可能です。
イメージしづらい場合には、インパクト・フォロースルー時に身体から腕をなるべく離すことが重要です。
腕を畳んだコンパクトなスイングをしようとすると、筋力に頼ったスイングとなってしまうので遠心力を活かすためには肩からクラブヘッドまでの長さが遠心力に影響することを意識しなければなりません。
意識的に外力を使ったスリングショットを練習することができれば、かつての飛距離を取り戻せるわけです。
90代で200ヤード以上の飛距離を出すプレイヤーは外力を使いこなしている
30代までに230ヤードの飛距離を誇っていた人が、60代で170ヤード程度まで落ちてしまうとゴルフを楽しく感じられないとしても不思議ではありません。
しかし、90代で200ヤード以上の飛距離を出すゴルフ愛好家がいることは、いかに内力だけに頼らない外力を使ったスイングが飛距離に繋がるのかといった点を再確認させてくれます。
筋力の衰えはある程度筋力トレーニングにより補いつつ、エネルギーの使い方を工夫してテクニックで飛距離を伸ばす工夫をしてみましょう。