プロが2種類?ゴルフの「ツアープロ」と「ティーチングプロ」の違いとは

さまざまなスポーツには、職業として報酬を得ているプロスポーツ選手がいます。

多くのスポーツでプロは1種類しかありませんが、ゴルフには2種類のプロがあることをご存知でしょうか?

この記事では、ゴルフ特有の2種類のプロ、「ツアープロ」と「ティーチングプロ」について解説していきます。

プロゴルファーには2種類ある?

プロゴルファーは他のスポーツと違い、2種類のプロがあります。

ますは、それぞれのプロゴルファーについて見ていきましょう。

ツアープロとは?

多くの方が、「プロゴルファー」と聞いてまず想像するのが、この「ツアープロ」ではないでしょうか。

テレビで放送されるゴルフトーナメントのツアーに参加して賞金を稼ぐプロで、男子であれば公益社団法人日本プロゴルフ協会(JPGA)の「トーナメントプレイヤー」(TP)の資格、女子であれば公益社団法人日本女子プロゴルフ協会の(JLPGA)の「プロフェッショナル会員」の資格を保有しています。

 

ツアープロの報酬は、ツアーでの獲得賞金のほか、用品メーカーとのスポンサー契約やCM出演料、TV番組やイベントの出演料など、多岐にわたります。

 

知名度の高い選手が多く、男子ゴルフの四大メジャー大会のひとつである「マスターズ」で優勝した松山英樹選手や、「ハニカミ王子」で一世を風靡した石川遼選手などは、ゴルフをプレーしない人でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ティーチングプロとは?

もうひとつのプロは、「ティーチングプロ」と呼ばれるプロです。

ティーチングプロは、ツアープロと違い、自らが競技者としてツアーに参加して賞金を稼ぐのではなく、主にほかのゴルファーにゴルフを指導することで報酬を得ます。

 

その多くは、特定のゴルフ場やゴルフ練習場に所属して、来場したアマチュアゴルファー向けに指導(レッスン)を行っているため、「レッスンプロ」とも呼ばれています。

 

少数ながらティーチングプロの中には、ツアープロにコーチとして指導を行う方もいて、そのような方は、ツアープロ同様に知名度を活かしたレッスン本出版やイベント出演など、収入源はアマチュアへのゴルフ指導に限りません。

ツアープロについて

ここからは、ツアープロについて更に詳しく解説していきます。

何人ぐらいツアープロはいるの?

2021年12月時点でのJPGA「トーナメントプレイヤー」資格の登録者数は2,489名、2021年12月時点でのJLPGA「プロフェッショナル会員」資格の登録者数は958名となっており、男女合計で約3,500名のツアープロがいます。

日本のゴルフ人口が520万人と言われていることを考えれば、ツアープロがいかに一握りの存在であるかが分かります。

さらに言えば、ツアーに出場するためには、前年度のツアー成績によるシード権獲得や下部ツアーでの好成績、クォリファイングトーナメント (QT) と呼ばれるトーナメントで上位に入る必要があるなど、より狭き門を通る必要があります。

毎年何人ぐらいがツアープロになっている? 

2020年は男子で51名、女子で22名がプロテストに合格しています。合格者数は毎年若干変動しますが、例年男女合わせて約70名が新たにツアープロになっています。

合格率は男子が8〜10%程度、女子は3〜5%程度で、非常に狭き門と言えるでしょう。

【男子】ツアープロになるには?(PGA資格認定プロテスト)

男子がツアープロになるためには、原則JPGAが毎年実施している「PGA資格認定プロテスト」を受験し、合格する必要があります。

テストに合格すると「トーナメントプレイヤー」の認定を受けられ、この認定がツアープロとしての第一歩となります。

 

プロテストの実技試験は、プレ予選→1次プロテスト→2次プロテスト→最終プロテストの順に計4段階で実施され、各段階の成績上位者が次の段階に進める仕組みです。

最終プロテストの合格基準は最終テストラウンドで上位50位タイに入ることで、実技試験通過後の面接や筆記試験を経て、晴れて「トーナメントプレイヤー」として認定されます。

各選考における参加資格や細かい試験内容等(2021年度開催分)は下表の通りです。

選考ステージ 参加資格 試験内容等
プレ予選 ①申込年度に16歳以上の者 36ホール・ストロークプレー
1次プロテスト ①プレ予選の通過者

②一覧に定める「推薦団体」からの1次プロテスト推薦者

③PGAティーチングプロ

④前年度最終プロテスト出場者(書類 審査有)

⑤アマチュア競技成績の該当者(書類 審査有)

(1)日本学生ゴルフ選手権 4位~10位

(2)日本アマゴルフ選手     4位~10位

(3)全日本パブリックアマ選手権 4位~10位

(現:全日本アマチュアゴルファーズ選手権)

⑥その他PGAが承認した者(書類審査有)

36ホール・ストロークプレー
2次プロテスト ①1次プロテストの通過者

②一覧に定める「推薦団体」からの2次プロテスト推薦者

③PGAティーチングプロ選考会による出場資格取得者

④アマチュア競技成績の該当者(書類審査有)

(1)日本学生ゴルフ選手権 2位~3位

(2)日本アマゴルフ選手権 2位~3位

(3)日本オープンゴルフ選手権

(ローアマチュアを除く決勝ラウンド進出者)

(4)全日本パブリックアマ選手権 優勝~3位

(現:全日本アマチュアゴルファーズ選手権

(5)全国高等学校ゴルフ選手権 優勝者

(6)日本ジュニア選手権 優勝者

(7)JGAナショナルチームメンバー

⑤その他PGAが承認した者(書類審査有)

54ホール・ストロークプレー
最終プロテスト ①2次プロテストの通過者

②一覧に定める「推薦団体」からの最終プロテスト推薦者

③PGAティーチングプロ選考会による出場資格取得者

④アマチュア競技成績の該当者(書類審査有)

(1)日本学生ゴルフ選手権 優勝者

(2)日本アマゴルフ選手権 優勝者

(3)日本オープンゴルフ選手権 ローアマチュア

⑤その他PGAが承認した者(書類審査有)

72ホール・ストロークプレー

引用:公益社団法人 日本プロゴルフ協会 https://www.pgatour.jp/protest/2021/flow/

【女子】ツアープロになるには?(JLPGAプロテスト)

女子がツアープロになるためには、原則JPGAが毎年実施している「JLPGAプロテスト」を受験し、合格する必要があります。

男子のようにプレ予選はありませんが、1次予選→2次予選→最終プロテストで実施され、おおむねの流れは共通です。

女子の最終プロテストの合格基準は最終テストラウンドで上位20位タイと男子より厳しい基準となっています。

各選考における参加資格や細かい試験内容等(2021年度開催分)は下表の通りす。

選考ステージ 参加資格 試験内容等
1次予選 ①受験資格要件は無いが、JGA/USGA HDCP Index5.0 以下

程度の実 力を有する者を推奨する

54ホール・ストロークプレー
2次予選 ① 2020 年度最終プロテスト(延期日程)出場者

② 2021 年度 JGA ナショナルチーム女子メンバー

(最終プロテスト受験資 格保持者を除く)

③ 第 1 次予選からの進出者

④ 上記以外で JLPGA が承認した者

72 ホールストロークプレー
最終プロテスト ① 2021 年 7 月 30 日(金)時点のロレックスランキング上

位 50 位まで の者

② 2021 年度 TP 単年登録者

③ 2021 年度 JGA ナショナルチーム女子メンバーのうち当該

年度 7 月 30 日(金)時点の JGA 日本アマチュアゴルフラ

ンキング上位 5 名の者

④ 2018 年、2019 年及び 2021 年度に開催された日本女子

アマチュア ゴルフ選手権の優勝者

⑤ 2018 年、2019 年及び 2021 年度に開催された日本女子

学生ゴル フ選手権の優勝者

⑥ 2018 年、2019 年、2020 年及び 2021 年度に開催された日本女 子オープンゴルフ選手権のローアマチュア

⑦ 2020 年最終プロテスト(延期日程)の翌週の月曜日から、2021 年 度最終プロテストの前週日曜日までに本戦が開催されたステップ・アップ・ ツアー各競技の優勝者

⑧ 第 2 次予選からの進出者

⑨ 上記以外で JLPGA が承認した者

72 ホールストロークプレー

引用:一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会  https://cdn.lpga.or.jp/lpga/cms/2021/03/22/d58b2351955081942c71bcbaa626537d9e49243b.pdf

プロテストが免除される場合

JPGA「トーナメントプレイヤー」とJLPGA「プロフェッショナル会員」の資格認定を受けるためには、前述の通り、原則プロテストの合格が必要ですが、例外的にテストが免除される場合があります。

それは、アマチュアとしてプロツアーに出場し、優勝するなどの好成績を収めた場合です。

プロとしての資格を持たずにプロツアーで好成績を収めた場合には、特例として、JPGAやJLPGAがプロストを免除して、資格を認定することがあります。

 

松山英樹選手や石川遼選手は、アマチュアとしてプロツアーに参加して優勝、その後のプロ宣言を経て、JPGAから「トーナメントプレイヤー」の資格認定を受けています。

 

しかし、そもそもツアーに参加しているのはプロテストに合格したプロばかりなので、その中で好成績を収めることは至難のわざであり、プロテストに合格するよりも難易度は高いと言えます。

ティーチングプロについて

続いて、もうひとつのプロであるティーチングプロについて解説していきます。

何人ぐらいティーチングプロはいるの?

2021年12月時点でのJPGA「PGAティーチングプロ」資格の登録者数は4,168名、2021年12月時点でのJLPGA「ティーチングプロフェッショナル会員」資格の登録者数は238名となっており、男女合計で約4,400名のティーチングプロがいます。

毎年何人ぐらいがティーチングプロになっている?

2021年の新規資格取得者はJPGAで88名、JLPGAで28名です。例年男女合わせて100名前後のティーチングプロが誕生しています。

合格率は例年50%程度と、ツアープロに比べて高い合格率となっています。

PGAティーチングプロ資格認定制度とは?

JPGA認定の「PGAティーチングプロ」(TCP)になるためには、資格認定講習会の合格が必要です。

受験年度に20歳以上であれば誰でも申込み可能で、認定の流れは、書類審査→プレ実技審査→実技審査→筆記試験・面接→各種講習(約1年間)となっており、ツアープロと比べて取得までに時間がかかる点が特徴です。

2019年からは、女性でも資格取得が可能となり、2021年には初のPGA女性会員が5名誕生しています。

B級、A級・ジュニア指導員資格について

JPGA「PGAティーチングプロ」資格には、B級と上位資格のA級があります。B級資格取得後にA級の講習を受講することでA級資格の取得が可能です。

A級講習は単なる技術的指導力に加えて、今後のゴルフ会を担う人材となるための内容が含まれる点が特徴です。

また、2012年からはジュニアの育成に特化した講義が追加され、A級資格と同時にジュニア指導員の資格認定が導入されました。

 

近年の環境の変化に伴い屋外で遊ぶ子どもが増えており、遊びの中で体の使い方を覚える機会減っていることを背景に、ジュニア指導員はゴルフの技術指導に留まらず、「外遊びで体を動かす子どもたちを復活させる」ことを最大目標に指導を行っています。

2012年以前にA級を取得している会員は追加で講習を受けることでジュニア指導員の資格取得が可能です。

JLPGAティーチングプロフェッショナル資格認定制度

JLPGAでもティーチングプロ認定を行っており、合格者は「JLPGAティーチングプロフェッショナル会員(A級)」となります。

認定の流れは、書類審査→面接→筆記試験→プレ実技審査→実技審査→最終審査→各種講習(1年間)→入会審査となっており、講習はPGA主催のB級・A級を受講します。

 

受験資格は下記の通りです。

①日本国籍を有する者、又は日本語での読み書きや会話が不自由なく可能な出入国管理及び難民認定法

に定める永住者、日本人の配偶者等及び永住者の配偶者等の在留資格を持つ外国人

②2021年4月1日時点で満18才以上である者

③高校卒業程度の学力を有する者

引用:一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会   https://www.lpga.or.jp/page/qualify/tp

「競技者としてのプロ」と「教えるプロ」

 この記事では、ゴルフ特有のふたつのプロについての違いについて解説してきました。

ツアープロは競技者として自身の技術を磨き続ける必要があり、ティーチングプロは指導者として競技者の技術を伸ばすための指導力が必要となります。

それぞれのプロごとに特徴がありますが、どちらも資格取得には厳しいプロテストに合格しなければならないが点は共通と言えるでしょう。

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